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カバー工法

今回は、【カバー工法についてご紹介させていただきます。

絶対に失敗したくない、屋根のリフォーム工事。様々な情報を集めていると、時々「カバー工法」という単語が目に入ってきます。

「カバー工法」という名称は業者のチラシやホームページなどでよく目にするものの、実際にどんな工事を行なうのか、どんなメリットがあるかについてはあまり言及されていません。

■1.屋根のカバー工法とは?■

①カバー工法とは、既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねる工法

カバー工法とは、下図のように「既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねる工法」のことを指します。古くなって劣化症状が目立ってきた屋根材を剥がさずに、その上に防水シートと新しい屋根材を重ねていきます(カバー工法には、「重ね葺き」「重ね張り」「被せ工法」など様々な呼称があります)。

②カバー工法はどんな屋根でも採用できるの?

カバー工法を検討する上で注意しなければならない点が一つあります。それは、屋根の状態や建物の形状によっては、カバー工法を選択することができないということです。

住まいが下記の項目に当てはまる場合は、塗り替えや葺き替えなどの別の工法を選ばなければなりません。

〇屋根下地(野地板)の劣化が激しい場合〇

既存屋根材の下にある野地板が腐食しているなど、劣化が激しい場合は新しい屋根材をネジや釘でしっかり固定することができなくなるため、カバー工法は採用不可となります。

そのような場合は、カバー工法や塗装ではなく屋根の葺き替え工事が必要です。

〇住まいが耐震基準法に則した造りになっていない場合〇

カバー工法では既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねるため、屋根の重量が1.3倍~1.6倍程度に増えてしまいます。耐震性に問題が生じるほど重くなるわけではないので心配は必要ありませんが、古い住宅などで耐震基準法に則した造りになっていない場合はカバー工法を採用できないこともありますので、一度業者にご相談することをおすすめします。

〇既存の屋根材が瓦屋根の場合〇

現在の屋根材が瓦屋根の場合はカバー工法を行なうことは技術的に難しく、ほとんどの業者がお断りしています。もちろん瓦屋根の上に他の屋根材を重ねることが不可能ということではありませんが、「瓦屋根にカバー工法をすると屋根材が重くなりすぎる」

「そもそも瓦屋根は耐久性に優れる屋根材であるため、カバー工法のメリットが享受できない」

などのデメリットもあります。瓦屋根をリフォームしたい場合は、基本的には葺き替えをおススメします。

〇屋根の勾配が基準に適していない場合〇

カバー工法に使用される屋根材は、それぞれ施工可能な屋根の勾配(傾き具合)が定められています。勾配が緩すぎたり急すぎたりする屋根にカバー工法を施すと、雨漏りを引き起こしてしまうため、原則として採用することはできません。

ここでカバー工法が採用できないケースを紹介しましたが、ご自身で判断するのが難しい場合もあるかと思います。そのような場合は一度業者に相談して、住まいがカバー工法に対応できるかどうかチェックしてもらいましょう。

③塗装や葺き替えとはどこが違うの?

屋根リフォームで一般的に採用される工法は、「カバー工法」の他にも「塗装工事」「葺き替え」があります。ここでは、3つの工法を「概要」「耐久性はどのくらいか」「どんな場合におすすめできるか」といった視点から、下記で比較していきます。

〇カバー工法〇

【概要】

既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる。(補修工事や、既存の屋根材を撤去する必要なし)

【耐久性】※メンテナンス時期

スレート瓦:10~20年

アスファルトシングル:20~30年

金属屋根:20~30年

【どんな場合におすすめできるか】

・長期的に見た場合のコストパフォーマンスを重要視する場合

・屋根の雰囲気を大きく変えたい場合

・色あせや塗膜の剥がれ、屋根材のひび割れなどが多数あり、塗装が困難な場合

〇塗装工事〇

【概要】

屋根の傷んでいる部分を補修して下地を整えてから、下塗り塗料・上塗り塗料を塗って表面を保護する。

【耐久性】

約10年(塗料の種類によって変動あり)

【どんな場合におすすめできるか】

・1回の工事費用を安く抑えたい場合

・色あせや塗膜の剥がれ、屋根材のひび割れなど、劣化症状が比較的軽微な場合

〇葺き替え〇

【概要】

既存の屋根材を撤去し、また一から新しい屋根材を施工する。

【耐久性】

スレート瓦:7~8年

セメント瓦:10~15年

アスファルトシングル:20~30年

金属屋根:20~30年

【どんな場合におすすめできるか】

・屋根にたわみや雨漏りなどの、著しい劣化症状が発生している場合

・屋根の雰囲気を大きく変えたい

■2.カバー工法を選ぶメリット

①長期的に見た場合のコストパフォーマンスが高い

「カバー工法」は既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる工法であるため、屋根材の補修や撤去が必要ありません。そのため人件費を抑えることができ、しかも今よりも耐久性の高い屋根材に変更することもできるため、長い目でみた場合のコストパフォーマンスが最も高い工法だと言えます。

現在の住まいに長く住み続けることを考えている場合は、特におすすめすることができる工法です。

②屋根の断熱性・防水性・遮音性が向上する

場合

カバー工法で施工した場合、既存の屋根材の上に新しい屋根材がある「二層構造」になります。そのため通常の屋根に比べて熱を通しにくく、雨音も家の中までは響いてきにくくなるのです。

また、カバー工法で使用する屋根材の中には断熱性能や防音性能に特化したものもあるため、そういった屋根材を選べばさらに効果は高まります。

さらに、カバー工法では防水シート(アスファルトシート)を必ず施工するため、雨水の浸入を食い止める防水性能も底上げされるというメリットがあります。

③屋根のデザインを一新できる

現在、カバー工法に使用できる屋根材は様々な種類が存在しています。金属製のスタイリッシュなものから、天然石をあしらったようなヨーロッパ風のデザインまで、好みに合わせて自由に選ぶ

ことが可能です。

住まいの印象を少し変えたい、今の屋根のデザインがあまり気に入っていないという方にも、カバー工法はおすすめできます。

④耐久性が高い屋根材を選べば、今後のメンテナンスの頻度を減らせる

カバー工法で使用する屋根材の中には、耐久年数が30年を超えるほど丈夫なものもあります。屋根を塗装した場合の耐久年数はおよそ10年前後されていますので、カバー工法を選んだ場合の方がメンテナンスの頻度を減らせることがわかります。

そして耐久年数が長くメンテナンスの頻度を減らせるということは、それだけリフォーム費用がかからなくなるということでもあるため、長期的に見た場合のコストパフォーマンスの高さにも繋がります。

■3.カバー工法のデメリット

カバー工法はコストパフォーマンスや耐久性の高さなど様々なメリットがありますが、検討する際に考慮しておくべきデメリットや注意点がいくつか存在します。

①業者の施工技術が低ければ、不具合が生じてしまう

塗装や葺き替えにも言えることではありますが、屋根のリフォーム工事の出来は職人の腕次第で変わってしまう可能性があります。

特にカバー工法は技術的に難しく、対応できない業者も多いのが現状です。屋根リフォーム業者や塗装業者のホームページなどをチェックする、営業担当者に詳しく聞いてみるなどして、カバー工法の実績があるかどうか確かめておくと安心です。

カバー工法は住まいの状態によっては採用できません。業者に充分な知識が無く、本来ならカバー工法が適さないと住まいに無理やり施工してしまうと、雨漏りなどの不具合を引き起こしてしまう可能性があります。

業者と契約を交わす前に、住宅の構造や劣化症状に精通した「外装劣化診断士」「建築士」などの

資格を持つスタッフに屋根の状態を確認してもらいましょう。

②太陽光パネルの設置が難しくなる

太陽光パネルは通常、屋根材に穴を開けてアンカーで固定する工法で設置されています。カバー工法を行なった屋根では屋根材が二重になっているため、この方法で設置するとアンカーが抜けやすくなり、太陽光パネルが滑落してしまうリスクが発生します。

とはいえ現在では、各種メーカーから屋根に穴をあける必要のない設置方法も開発されています。もし太陽光パネルの設置を検討している場合は、業者にカバー工法に対応した方法を提案してもらいましょう。

■4.カバー工法でおすすめの製品

カバー工法で主に使用されている屋根材は、汎用性が高くリーズナブルな「スレート瓦」と、軽くて高耐久の「金属屋根」、デザイン性に優れどんな形状の屋根にも施工できる「アスファルトシングル」の3種類となります。

■5.屋根以外のリフォームでも「カバー工法」が使える

既存の建材の上に新しい建材を被せるカバー工法は、屋根以外のリフォームでも使用できます。

①「外壁」のカバー工法

②「窓サッシ」のカバー工法

③「玄関ドア・浴室ドア」のカバー工法

既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ね葺きする「カバー工法」は、屋根を張り替えるよりも短期間かつ安価に工事できる上、屋根のデザインを一新することも可能です。

さらに、採用する屋根材によっては耐久年数を大幅に引き上げることができるため、長い目で見た場合のコストパフォーマンスも高いのが特徴です。

とはいえ、屋根下地材の劣化や腐食が著しい屋根には使用できないなどの注意点もありますので、カバー工法を適用できるかどうか一度業者に相談してみることをおすすめします。

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